2026年3月23日
今日は出社日なので、電車の中でこれを書いている。
明後日、3月25日。ついに来る。
第75期王将戦七番勝負・第7局。舞台は大阪府高槻市の関西将棋会館。藤井聡太王将 対 永瀬拓矢九段、運命の最終決戦だ。
長かった。本当に長いシリーズだった。1月の掛川から始まり、京都、立川、和歌山、大田原、名古屋、そして高槻。全国を転戦して3勝3敗。こんなに激しい王将戦は、ぼくが観る将になってから初めてだと思う。
1勝3敗から3連勝。奇跡じゃなくて実力だと思う
正直に言う。第4局が終わった時点で、ぼくは「今期は仕方ないかな」と思っていた。1勝3敗。こんな崖っぷち、さすがの藤井先生でも厳しいんじゃないかと。
それが、第5局・第6局と連勝して3勝3敗に追いついた。
第6局の73手目「▲2三歩」は、盤面を眺めながら思わず声が出た。王手でも飛車取りでもない、ただの歩1枚。でもその1枚が、永瀬陣の守りを静かに崩壊させていく。プロ棋士も「背筋が寒くなる手」と評していたが、まったくその通りだ。あの1手に、藤井将棋の怖さが詰まっていた。
奇跡の逆転、とは言いたくない。あれは実力だ。時間を惜しまず考え、局面の真実を探し続ける。それが藤井聡太という棋士なのだと、改めて思い知らされた。
永瀬九段は本当に強かった
ここで一度、永瀬九段についても書いておきたい。
このシリーズ、永瀬九段は本当に強かった。序盤の研究量、終盤の粘り強さ、精神的なタフさ。どれをとっても一級品だった。第4局までに3勝を積み上げ、「今度こそ王将奪取か」と将棋界全体を沸かせた。
藤井先生の大ファンのぼくが言うのも変だけれど、永瀬九段がいなければこのシリーズはここまで熱くならなかった。最終局まで持ち込んでくれたことに、観る将として純粋に感謝している。
だからこそ、第7局が楽しみで仕方ない。
明後日から2日間、ぼくはどうするか
25日(水)も26日(木)も、どちらも出社日だ。
つまり、リアルタイム中継はほぼ無理。スマホをちらちら見る余裕もない。封じ手が開封される2日目の佳境も、たぶん職場にいる。将棋ファンとしてこれほど悔しい状況があるだろうか。王将戦の最終局なのに。
まあ、しょうがない。仕事は仕事だ。50代おじさんはそうやって折り合いをつけながら生きている。
せめて帰りの電車の中でスマホを開いて、結果と棋譜を確認する。それが今シリーズ最終局のぼくの「観戦スタイル」になりそうだ。家に帰ってから、YouTubeや中継アーカイブでじっくり並べ直す。それはそれで、落ち着いた楽しみ方かもしれない……と自分に言い聞かせている。
藤井先生、5連覇、頼みます
王将5連覇。将来の「永世王将」へのまた一歩。そして「七番勝負無敗」という前人未踏の記録の継続。背負っているものは大きい。
でも藤井先生は、そういうプレッシャーを「重さ」ではなく「燃料」に変えてしまう人だと、ぼくは信じている。第6局後のコメント、「集中して精いっぱい頑張りたい」という静かな一言に、その覚悟が見えた気がした。
最終局。先手番はどちらが取るか。戦型は角換わりか、はたまた永瀬九段の奇策か。振り駒の瞬間からすでに勝負は始まっている。
ぼくは画面の前で、温かいコーヒーを飲みながら、ただ見守るだけだ。それでも、胸はもうどきどきしている。
藤井先生、頼んだよ。
