今日のお弁当はこちら……と言いたいところなんですが、今回はわっぱ弁当じゃなくて将棋の話です。いや、それぐらい今の王将戦が気になってしょうがない。50過ぎのおじさんが仕事の合間に中継をチェックしてしまうんだから、将棋の世界ってのは本当におそろしいですよ(笑)。
第75期王将戦七番勝負。藤井聡太王将(六冠)に挑む永瀬拓矢九段。2026年3月現在、スコアは藤井王将の2勝3敗。一時は崖っぷちに追い込まれましたが、3月8・9日の第5局で劇的な逆転勝利を収め、シリーズは第6局へとつながれました。
今回は、このシリーズの第1局から第5局までの軌跡をざっくり振り返りつつ、3月18・19日に愛知県の名古屋将棋対局場で行われる第6局の見どころをたつみくん目線でお届けしたいと思います。
そもそも、たつみくんと将棋の長い縁
ちょっと自己紹介がてら、私と将棋の関係をお話しさせてください。
最初の出会いは小学5年生の林間学校。同級生に将棋を教えてもらって指してみたら、それはもう見事にこてんぱんにやられました(笑)。悔しくて悔しくて、それからNHKの将棋講座とNHK杯将棋トーナメントを1年間かじりついて見続けました。そして小6の修学旅行、そのリベンジを果たすことができたんです。あの喜びは今でも覚えています。
調子に乗って横須賀市の将棋大会にも出場しました。1回戦は勝てたんですよ。でも2回戦で…小学2年生の子に負けました。あ、あの時の衝撃ったらない。完全に自信を粉砕されまして、それから何十年も将棋はほとんど指さない生活が続きました。
将棋を再開したのは4、5年前。「将棋ウォーズ」というネット対戦アプリがきっかけです。YouTubeで定跡動画をせっせと勉強して、なんとか初段を獲得することができました。その後、藤井聡太さんの大人気で将棋界全体が盛り上がり、今は「見る将」として毎日ニュースやAbemaTVの中継をチェックする日々です。
第75期王将戦七番勝負:第1局〜第5局の軌跡
第1局(1月11〜12日・掛川城)永瀬九段の勝利
開幕から永瀬九段が「藤井キラー」の真骨頂を発揮しました。得意の角換わりに誘導し、中盤の藤井王将のわずかな疑問手を見逃さず、緻密な計算でリードを広げて137手で勝利。挑戦者が幸先よく先勝しました。
第2局(1月24〜25日・伏見稲荷大社)藤井王将の勝利
伏見稲荷という神聖な舞台で、藤井王将が強さを見せました。再び角換わりとなりましたが、今度は藤井王将が用意の作戦をぶつけ、永瀬九段の粘り強い受けを鋭い踏み込みで突き破り111手で勝利。1勝1敗のタイに戻しました。
第3局(2月3〜4日・オーベルジュときと)永瀬九段の勝利
戦型は相居飛車の力戦模様へ。永瀬九段が序盤から研究の深さを活かしてプレッシャーをかけ続け、藤井王将に長考を強いる展開に。「軍曹」の異名にふさわしい堅実かつ鋭い攻めで優位を確立し、91手という短手数で圧倒しました。永瀬九段が2勝1敗と再びリードを奪います。
第4局(2月17〜18日・和歌山城ホール)永瀬九段の勝利
永瀬九段が王手をかける大きな一勝。角換わりの超高速の展開の中、終盤に藤井王将にチャンスが訪れたかに見えましたが、永瀬九段が執念の「入玉」含みの粘りを見せて逆転。1分将棋の極限状態でも集中力を切らさず、132手で藤井王将を突き放しました。スコアは3勝1敗。藤井王将は絶体絶命のカド番に追い込まれました。
正直、このあたりから「今年は永瀬九段の年かもしれない」という気持ちが頭をよぎり始めましたよ。しかも同じ時期の叡王戦準決勝(3月5日)でも永瀬九段が藤井王将に勝利し、藤井王将の年内八冠復帰の可能性も消えてしまいました。
第5局(3月8〜9日・ホテル花月)藤井王将の勝利
後がない状況で、藤井王将がまさに「神業」とも呼べる一手を披露しました。
戦型は相掛かり。永瀬九段が猛攻を仕掛け、一時は永瀬九段の勝利が目前という局面にまで持ち込みました。ところが藤井王将の放った「5三玉」という自玉を安全地帯へ移動させる受けが絶妙手。プロの検討陣すら驚く冷静な判断で永瀬九段の攻めの矛先を完全に切り、見事な逆転勝ちを収めました。88手、後手番でのドラマチックな勝利です。
あの「5三玉」を見た瞬間、思わず声が出ましたよ。中継のコメント欄も「神の一手」「天才すぎる」の文字で溢れていました。これがあるから将棋観戦はやめられないんですよね。
第6局の見どころ:「名古屋の陣」で藤井王将は踏みとどまれるか
3月18・19日に行われる第6局の舞台は、名古屋将棋対局場。藤井王将の地元・愛知県です。これほど劇的な舞台設定、映画でも作れないくらいですよ(笑)。
注目ポイントを整理してみます。
まず心理面。3勝1敗から2勝3敗へ。追い詰められたはずの藤井王将が第5局で劇的な逆転勝ちを収めたことで、シリーズの空気が変わった可能性があります。逆に「あと一勝」で足踏みした永瀬九段の側に、わずかでも焦りが生じていないか。心理戦という意味では、完全に五分に戻ったとも言えます。
次に戦型。ここまで5局で角換わりが3局、相掛かりが第5局で1局。藤井王将が第5局の相掛かりで反撃の糸口をつかんだ今、第6局の戦型選択は双方にとって重要な駆け引きになるはずです。永瀬九段が再び角換わりに誘導するのか、藤井王将が別の手を用意しているのか、序盤の段階から目が離せません。
そして永瀬九段にとっては、悲願の王将初獲得に向けた二度目の「王手」。藤井王将にとっては王将5連覇・永世王将の資格獲得がかかった一番です。互いに絶対に負けられない、まさにシリーズのクライマックスとなる一局になるでしょう。
おわりに:将棋って、やっぱり最高だ
小5の林間学校で同級生にボコボコにされて、修学旅行でリベンジして、将棋大会で小2に負けて自信をなくして(笑)。そんな私がまた将棋にどっぷりはまっているのも、藤井聡太という天才のおかげだと思っています。
将棋ウォーズで初段を取った身からすると、プロ棋士の終盤の読みの深さなんて想像を絶するレベルですが、それでも藤井王将の「5三玉」のような一手が出た瞬間に「すごい手が出た!」という感動は共有できる。それが見る将の醍醐味ですよね。
第6局、名古屋の地元ファンの後押しを受けながら、藤井王将がどんな将棋を見せてくれるのか。永瀬九段がどこまで藤井王将の前に立ちはだかるのか。3月18日(水)・19日(木)は仕事しながらもそわそわしてしまいそうです。
