藤井名人への挑戦者・糸谷哲郎八段の魅力に迫る!

みなさんこんにちは、たつみくんです。

いよいよ第84期名人戦七番勝負が4月8・9日の第1局(ホテル椿山荘東京)から開幕します。藤井聡太名人への挑戦権を手にしたのは、糸谷哲郎八段。「ダニー」の愛称で将棋ファンに親しまれる、個性あふれる棋士です。

観戦をより深く楽しむために、今回は糸谷八段の魅力をたっぷりご紹介したいと思います!

学問と将棋の二刀流――哲学の申し子

糸谷八段は1988年生まれ、広島県出身。名匠・森信雄九段門下として、2006年に17歳でプロ四段に昇段しました。

多くの棋士が将棋一本に絞るなか、糸谷八段はプロ入り後に大阪大学文学部へ進学し、さらに大学院の修士課程(哲学・思想文化学専修)まで修了するという異色の経歴を持っています。対局で忙しい日々を送りながら、カントなどの難解な西洋哲学の原書を読み込んでいたというのですから驚きです。

「将棋とは最善の真理を追究するゲームだ」――そんな言葉がいかにも糸谷八段らしい。哲学を深く学んだ知性と、盤上でのむき出しの野性が同居している、なんとも面白い棋士なんです。

頂点への到達――2014年、竜王位を奪取!

糸谷八段のキャリア最大のハイライトは、2014年の第27期竜王戦です。

当時七段だった糸谷八段は、挑戦者決定戦でなんと羽生善治名人(当時)を撃破。七番勝負では将棋界の頂点に君臨していた森内俊之竜王に挑み、4勝1敗という堂々たるスコアで竜王位を奪取しました。現役の国立大学院生が将棋界の最高位に就くという歴史的快挙でした。

その後も2018年に最高カテゴリーの順位戦A級に昇級し、タイトル戦にも複数回登場。竜王戦(第28期、1勝4敗で失冠)、王座戦(第64期、0勝3敗)、棋王戦(第46期、0勝3敗)と、タイトル戦に計4回登場してきました。そして今期、ついに初となる名人挑戦を掴みとったわけです。

超高速の乱戦派――糸谷八段の棋風

棋風を一言で表すなら「超高速の乱戦派」。これに尽きます。

まず圧倒的なのが「早指し」の速さです。持ち時間が各6時間もある順位戦の対局でも、ほとんど時間を使わずにバシバシと指し進め、終局時に持ち時間を数時間も残して勝つことも珍しくありません。この猛スピードが相手に目に見えない心理的プレッシャーを与えます。

さらに面白いのが、AI全盛の現代将棋の主流に真っ向から逆らうスタイルです。現代では事前の定跡研究を深く掘り下げることが主流ですが、糸谷八段はあえて前例のない「力戦」の局面へと相手を引きずり込みます。定跡を外れた混沌とした局面でこそ、彼の野生の直感と腕力が火を吹く。将棋を格闘技として捉えているような、泥臭くてエキサイティングな将棋です。

代名詞は「糸谷流右玉」と「角換わり」

得意戦法として有名なのが「糸谷流右玉」です。本来は左に囲うはずの玉をあえて右側に配置し、飛車や角の機動力を生かしてカウンターを狙うオリジナル戦法。スリリングで、いかにも彼らしい力戦派の魅力が詰まっています。

また、角換わりや雁木、横歩取りといった居飛車系の戦型でも、相手の意表を突く鋭い踏み込みで乱戦に持ち込む「糸谷流」の味付けが施されます。どんな戦型でも、気づけば前例のない混沌とした局面になっているのが糸谷将棋の真骨頂です。

第84期名人戦――藤井名人に力戦の格闘技を仕掛けろ!

今期の第84期A級順位戦、糸谷八段は7勝2敗の好成績でリーグを終え、永瀬拓矢九段とのプレーオフも制して初の名人挑戦を決めました。

対戦相手の藤井聡太名人は言わずもがな、現代将棋の絶対王者。対戦成績では苦戦が続いているだけに、正直なところ厳しい七番勝負になるとは思います。ただ、誰よりも定跡を外れた力戦に持ち込める糸谷八段なら、藤井名人を土俵際まで追い詰める局面も生まれるのではないか――そんな期待がありますね。

哲学の知性と野生の直感を兼ね備えた格闘家・糸谷哲郎八段。4月8日の第1局が今から楽しみで仕方ありません!

それでは今日はここまで。また次回の観戦記でお会いしましょう!

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